今回の現場である某百貨店のお酒売り場もリニューアルし、広く快適になった。
試飲ができる場所も増え、奥には有料試飲のカウンターも整備されている。
売り場は国別ではなく、味わい別に分かれているためワインは探しにくい。
まぁはじめのうちは仕方がない。
徐々に改善されることを願いたい。
今日ご案内したお客様がとても面白いことを仰っていたの紹介することにした。
そのお客様は比較的空いている時間にご来店された。
国籍は分からないが、恐らくアメリカ出身の方だと思う。
いまは仕事の関係で長いこと日本に住んでいるらしい。日本語も非常に堪能だった。
今回は友人へのギフトを探しているらしく、色々とアドバイスを求められた。
連休最終日ということもあり混雑もしていなかったため、好みを伺いながらゆっくりと店内をご案内することにした。
ワインの特徴を何度も真剣に聞き返し、日本語の表現で疑問に思うところは何度も確認してくれる。
こういうお客様を接客するのは楽しい。
最終的にイタリアの赤ワインに決定し、レジカウンターまでご案内。
ラッピングの要望をレジスタッフに伝えて引き継ぎを完了した。
ふと思い立ち、ラッピングを待つ間に新入荷のイタリアワインのお味見をすすめてみた。
ポッジョ・デ・ボルピの チェザネーゼ・デル・ピーリオ の2005年。
イタリアはラツィオ州で造られる赤ワインだ。
その味がとても気に入ってくれたらしく、ご自分用にと追加で購入してくださった。
「友人のギフトよりも自分へのギフトの方が高くなってしまった」と笑って仰っていた。
帰り際、その彼が私のところに立ち寄ってくださり、こう仰っていた。
『僕は優秀なバーテンダーとアドバイザーのいうことは素直に聞くことにしている』—と。
興味がい湧いたのでどういう意味か尋ねてみることにした。
”優秀なバーテンダーの言うことはどんなときでも正しい”
彼の出身地のバーの壁に掲げられている格言らしい。
海外のバーはこういった洒落が利いていて面白い。
若い時は傲慢な店だと思っていたが今になってやっと意味がわかった、と仰っていた。
酒に対する意見、味わい、蘊蓄。
そしてその酒が楽しめる季節やシュチュエーションなど、彼らのアドバイスは常に正しかった、と。
酔っ払いの我々にできることは常に彼らのいうことを素直に聞くだけ。
そしてそれが美味しい酒に出会える唯一で絶対の方法だ、とも。
お客様を見送りながら思った。
優秀なバーテンダーを見つけることは美味しいワインを見つけるよりも遥かに難しい。
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