最近、安い輸入ワインが増えている。
一時前なら2,000円クラスのワインが1,000円ちょっとで手に入る。
消費者にとってはいいことだが、それに慣れてしまうと楽しみが減ってしまう。
安いワインに気軽さがあるように高級ワインには悦びがある。
最近、イタリア展で年配のお客様との定番のやりとりがある。
簡略するとこんな感じだ。
「1,000円くらいで美味しいワインある?試飲させて」
「いろいろご用意がございますが、赤、白、スパークリングなどどういったタイプがよろしいですか?」
「赤がいいな」
「でしたらこちらのワインはいかがでしょう?どうぞ」
「うーん…物足りないな。もっと樽が効いてるフルボディのヤツはない?」
「この価格帯ではフルボディはなかなか難しいですが、果実味が強いのはこちらです。どうぞ。普段はイタリアワインを召し上がりますか?」
「あんまり飲まないなー。毎晩飲むけどボルドーがほとんどだね。」
といった感じだ。
残念ながらこのお客様の場合、やや見栄を張っている可能性が高い。
少なくともワインを選んで購入することには慣れていない。
1,000円くらいで樽の効いたフルボディのワインなど基本的に存在しない。
ワインを日頃から楽しんでいるお客様なら経験からその事実を知っていることが多い。
ワイン樽は非常に高級なのだ。
本来”フルボディ”、”ミディアムボディ”、”ライトボディ”などの表現は大まかにワインの質感を表す言葉だ。
赤ワインに使われることがほとんど。
白ワインと違い、基本的に赤ワインは甘みを多く含むものは少ない。
そのため甘辛ではなく、味わいの質感としてボディという表現をしている。
『重厚さ』 『コク』 『渋み』 『酸味』 『ふくよかさ』 『アルコール感』 などの味わいや余韻、そして品種などを加味した上で表現される。
つまり一律に絶対的な評価ではない。
ブルゴーニュの繊細なピノ・ノワールとカリフォルニアの力強いカベルネ・ソーヴィニヨンではフルボディの意味合いが違う。
残念ながら日本ではフルボディ信仰というものが水面下に存在する。
《 高級 = フルボディ 》
《 フルボディ = 美味しい 》
という悲しい方程式だ。
もちろん一理あるのだが、割り切れるほど簡単なものではない。
ミディアムボディのバランスのいいエレガントな高級赤ワインなどいっぱい存在する。
頑なになると美味しいワインを安く手に入れるチャンスを逃してしまう。
このブログの読者の方々には上手な買い物をしてもらいたい。
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ワインパーティーをしよう・カクテルはいかが って、料理本しってます?いーですよ! 行正り香さんの本です。
2010年9月18日 14:01 | アヤ
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>アヤさん
その本は知りませんでした。面白そうなので探してみます。
僕は活字中毒者なので、小説に加え、お酒関連や料理本、雑誌が溢れています。
読む本が増えるのはうれしいです。
最近ずいぶんと整理しましたが、本を捨てるのは苦手なので図書館を利用しています。
2010年9月18日 22:08 | 黒須 慧
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>黒須 慧さん
ぜひぜひ 探してみて下さい!行正さんの料理は、簡単なのにハズレってのがあんまりないです。あと、料理にあうお酒をどの本でも、色々紹介してくれてるので、参考にしてます。エッセも書いてあるんですが、それが面白くて、彼女の料理本は全部そろえちゃいました☆
小説では、山田詠美さんのが好きですが、なにか、オススメはありますか?
2010年9月18日 22:50 | アヤ
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>アヤさん
好きな作家さんは何人かいますが、基本的に作家さん縛りはないですね。
作品が面白そうなら読みます。
料理や酒が出来てくるものが好きです。
近藤史恵さんの「タルト・タタンの夢」 「ヴァン・ショーをあなたに」など、人の死なないミステリー(?)が好きです。
北森鴻さんの<香菜里屋シリーズ>も好きですね。
プロフィールにも書いてありますが、海老沢泰久さんの「美味礼讃」や「人はなぜバーテンダーになるか」は何度も読み返しました。
まぁなんでも読みます(笑)
2010年9月19日 00:05 | 黒須 慧
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初めてコメントさせていただきます。
私もお馴染みの販売員さんがいるイタリアワイン展で同じようなやりとりを見るものですから…。
インポーターの販売員さんは、もうわかっていて、そういう方には、それ以上イタリアワインは勧めず、店の奥のフランスワインに誘導してますけど(笑)
私はイタリア好きですけど、他の国も飲んでみると、そのおいしさにうれしくなったりして、固執しちゃいかんな~、て思います。
ブログ拝見して、おいしいお酒探究させていただきます!
2010年9月19日 15:11 | MRUEDA55
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>MRUEDA55さん
どの催事でもこういった現象は発生します。
実際のところ、我々とやりあうことを目的にご来店しているお客様もいらっしゃいますし…
できれはそういった楽しみかたはご遠慮いただきたいですね。
ワインは先入観をなくして飲むと世界が広がりますね。
飲みたくないものを勧めることはしませんが、「ボルドーワインしか飲まない」というお客様でもブラインドでは国はおろか品種を当てることも困難だと思います。
完全にイメージが先行してしまっています。
別にそれでも構いませんが。
”拘る”ことと”固執”することは違います。
視野を広げた方が楽しいですね。
2010年9月19日 22:11 | 黒須 慧
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カウンターの中でも、同じ事が頻繁に起こります。
私は、
『チーズ=赤』という、悲しい方程式と
『ワイン=悪酔い=嫌い』という
悲しすぎる現状、我が町に毎日、悩んでいます。
飲まず嫌い、食わず嫌いに、その悦びを知ってもらいたいが、その牙城を崩すのは一筋縄ではいきません。
2010年9月22日 04:23 | クロ
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>クロさん
あまり堅く考えると楽しみが減りますね。
残念なことです。
「輸入ワイン=酸化防止剤=悪酔い」
という方程式もありますね。
とくに海外旅行に行かれたお客様に多く見られますが…
日本の国内法の添加物表示は厳しいので亜硫酸塩などの表記が義務ですが、海外では記載義務がありません。
書いてないから入ってないという勘違いから発生していると思われますが。
海外では亜硫酸塩の添加が当たり前なので表示義務がありません。
我々はそういったこともお客様に伝えていかなければなりませんね。
2010年9月22日 07:35 | 黒須 慧