先日飲んだ、ドメーヌ・ギヨンのエシェゾーの衝撃が忘れられない。
とはいえ、思いつきでエシェゾーを試せるほどいい身分ではない。
セラーから取り出したのは
ドミニク・ローランのジュヴェレ・シャンベルタンのV.V. 。ヴィンテージは2006年。
インポーターは山信商事。
価格は7000円程度だったと思う。
最近ではニューワールドのピノ・ノワールのレベルも高いが、やはりブルゴーニュのそれとは違う。
ドミニク・ローランはブルゴーニュ屈指のネゴシアンだ。
しかし、もともとワインを扱っていたわけではない。菓子職人だった。
最初は友人から頼まれ、ワインの買い付けを行っていた。
後にそれが本業となる。
ドミニク・ローランと言えば”新樽200%”と言われる。
これは新樽で短期間熟成させたワインを再度、新樽に移し替えるという技法を使っているからだ。
ある時、ネゴシアンであるドミニクは新樽に入ったワインを購入した。
しかしその樽香が気に入らず、再度、自分の新樽に移し替えたところ、従来よりもいい熟成をしていたという。
まさに偶然の発見だった。
この技法は現在、一部の上級キュヴェにのみに使われることが多い。
買いつけたワインの状態に合わせて、新樽比率を調整している。
こうしてドミニク・ローランのワインは生み出される。
ドミニクには何度か会ったことがある。
ドミニクはまさに樽を思わせる大柄な男性だ。
そして実直にワインを愛している。
彼は言った。
「僕にとってワインを造ることは、日々を生きることだ。」
年をとったら畑で葡萄を栽培して、家族でワインを造るおじいちゃんになりたい、とも。
ドミニクは現在、自社の畑を買い広げている。
その名はドメーヌ・ローラン・ペール・エ・フィス。
ペール・エ・フィスとは”父とその息子たち”という意味だ。
その名のとおり、息子が葡萄を栽培、父が醸造するというスタイルをとっている。
ドメーヌもののワインも少しずつリリースしている。
ネゴシアンものよりも、穏やかで優しい味わいだ。
個人的にはこちらの方が好みだ。
さて2006年のジュヴェレ・シャンベルタン。
瓶詰めして数年とは思えないほど香り華やか。
抜栓した直後に広がる香りに魅了される。
透明感があり、バランスのとれた果実味と酸味。
フルーティなニュアンスとジュヴェレ・シャンベルタンらしい力強さ。
満足度は非常に高い。
しかし予想した通り、飲みごろはまだまた先だった。
もう一本はしばらく飲まずに取っておくことにする。
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