バレンタインの前に紹介した貴醸酒『カワセミの旅』についてお問合わせがいくつかあったので、今回はそれを記事にしようと思う。

その質問とは

「貴醸酒って何?」

というもの。

貴醸酒とは日本酒の一種。

通常、日本酒は「米と水」で仕込む。

しかし貴醸酒は「米と酒と水」で仕込むのだ。

日本酒を日本酒を使って仕込むために味わいは濃く、濃醇な香りと柔らかい後味が特徴。

長期保存も可能で、熟成すると琥珀色になり、味わいはよりまろやかになる。

良く冷やして冷酒として飲むか、ロックで飲むのが一般的。

もともとは国立醸造試験場が古代酒の製法を元に考案した醸造方法。

現在では一切水を使用せず、酒だけで仕込む方法も開発が進んでいる。

あんまり面白い話ではない。

なのでちょっと昔話でも。

この貴醸酒の基になっている古代酒の醸造方法とは「しおり」という。

感じで書くと「塩折」。

「塩」とはモロミを搾った汁のこと。

そして「折」はそのもの折り返す(くり返す)を意味している。

さて、ようやく「私らしく」なってきた。

ここで登場するのが日本書紀だ。

以前にも皆既日食の記事の時に引っ張り出してきたことがある。

実はこの「塩折」、ひょっとしたらみなさんも聞いたことがあるかも知れない。

それが「八塩折乃酒(ヤシオリノサケ)」。

かの「ヤマタノオロオチ」が飲んだ”銘酒”だ。

生贄のクシナダヒメを食べにきたヤマタノオロチがその豊潤な香りに誘われて八塩折乃酒を飲んでしまう。

しかしその威力に勝てず酔っ払ってしまい、スサノオノミコトにバッサリ斬られてしまうのだ。

ちなみに八塩折乃酒の「八」は”たくさん”を表している。

いったん酒を造り、再度原料を加えて醸す。それをまた濾して再度原料を加えて醸す。

これを何度も繰り返した酒、という意味だ。

さらに付け加えるならば、原料は米ではなく木の実や穀物だといわれている。

(最初の米の酒はコノハサクヤヒメが造った天甜酒(あまのたむさけ)だといわれている)

しかしその醸造方法の性質上、かなりの甘口の酒であったと思われる。

ヤマタノオロチは甘党だったのかもしれない。

貴醸酒を飲めばあなたもヤマタノオロチが味わった至福の酔いを体感できる。

しかし退治されないように注意が必要だ。

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コメント一覧
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    確実に退治されるなぁ(笑)


    2011年2月23日 21:36 | アヤ

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    >アヤさん
    どうもご無沙汰しています。
    まぁ酒の誘惑はかなりのものですからねぇ(笑)
    ついつい飲んでしまったヤマタノオロチの気持ちもわからないではありませんね。


    2011年2月23日 22:27 | 黒須 慧

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    毎日家族に退治されそうになっています
    どうせ駆除の対象なら毎晩飲んでやる!
    …単なる強がりかな(^∇^)


    2011年2月27日 00:03 | Tom Scotta

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    >Tom Scottaさん
    ご無沙汰しております。
    いつもコメント、ありがとうございます。
    既婚者ゆえのお悩みでしょうかね?(笑)
    しかし、まったく自由なのも寂しいものですよ。


    2011年2月27日 00:21 | 黒須 慧

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