今宵のワインはシャトー・シャス・スプリーンの2000年だ。
フランスはメドック地区ムーリで産する赤ワイン。
ブルジョワ級でありながら格付け3級に匹敵する人気と実力を誇っている。
名前の由来はシャトーに滞在したフランス近代詩の父と呼ばれるシャルル・ボードレールの詩から引用されている。
「悪の華」という作品の「憂鬱」と詩だ。
シャス(払う)・スプリーン(憂鬱)だ。
まぁ細かい情報はいくらでも検索できるので割愛する。
このワインは私をワインの世界に導いた一本だ。
初めてシャス・スプリーンを飲んだ時、学生だった私は赤ワインの美味しさを知った。
ヴィンテージは1995年。
謀らずともシャス・スプリーンを代表する良年だった。
以来急がず、可能な限り試飲を重ねている。
まだまだ全ヴィンテージを試すには時間がかかるだろう。
バック・ヴィンテージを手に入れるのは容易ではない。実際、不可能かもしれない。
2000年がリリースされた当時、エンジニアだった私は知人にも協力してもらい2ケース近くの本数を入手した。
平均価格は2300円程度だろうか。
今買おうとすると8,000~9,000円は支払わなければならない。
当時の自分をほめてやりたい。
色彩は深みのあるルビー色。
熟したブラック・ベリーやプラムを思わせる芳醇な香り。そして丸みのある女性的な口当たり。
まさに慈愛に満ちたワインだ。
私はこのワインをギフトで贈ることが多い。—自分で飲むよりも遥かに。
このところ仕事場が遠く、疲れが溜まっている。
久々に自分で飲んでもいいだろう。たまには癒されたい。
最後にボードレールの有名な詩を。
『勤労は日々を豊かにし、酒は日曜日を幸福にする』
酒が幸せにしているのは日曜日だけではない。
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