ワインを楽しむためのワインブログ

ほとんど休みのなかった怒涛の12月を終え、なんとか新年を迎えた。

12月はほとんどブログの更新もできなかった。

というより仕事以外なにもできなかった、が正解だ。

零細個人事務所の代表としてはありがたいことでもあるのだが。

催事やクリスマスなどわざわざ会いに来てくれたお客様も多かった。

一年ぶりにお会いした方もいらっしゃったし、そして新たなお客様も。

今年も楽しんでもらえるように頑張って仕事をしていければそれでいい。

正月は親戚一同から結婚のプレッシャーをかけられ、恋人すらいない私は肩身の狭い思いしかしなかった。

そしてお年玉をむしりとられ、一日中ゲームの相手をさせられて私の貴重な一日だけの正月は幕を閉じた。

そんな正月と初売りを乗り越え、やっと新年一本目のワインを抜栓することにする。

せっかくなので縁起のいいものを選びたい。

しばし思案しセラーから取り出したのはロラトワール・ド・シャス＝スプリーンの2007。

インポーターは徳岡。

価格は催事で2,400円税込だった。

ロラトワール・ド・シャス＝スプリーンは多くの評論家に”格付けワインにも匹敵する実力”と評価されるシャトー・シャス＝スプリーンのセカンドラベルだ。

さて読者のみなさんの中にはセカンドラベルは「レリタージュ・ド・シャス＝スプリーン」ではないか、と思った方もいらっしゃるのではないだろうか。

実はシャトー・シャス＝スプリーンには2つ（厳密には3つ）のセカンドラベルが存在する。

一つは”L’Ermitage de Chasse-Spleen（レルミタージュ・ド・シャス＝スプリーン）”。

もう一つは”L’Heritage de Chasse-Spleen（レリタージュ・ド・シャス＝スプリーン）”。

そして”L’Oratoire de Chasse-Spleen（ロラトワール・ド・シャス＝スプリーン”だ。

レルミタージュとレリタージュはおそらく同一のもの。

2000年を境にレルミタージュからレリタージュに変更になった。

実はこちらは畑の区画がシャス＝スプリーンとは異なる。

まだファーストラベルには適さないとされる区画の葡萄だけで造られているのだ。

そしてロラトワール。

こちらはアッサンブラージュ（ワインのブレンドを決定する）時に格下げとなった正真正銘のセカンドラベル。

ファーストラベル用に仕込まれたが、最終的にファーストになり得なかったワインという訳だ。

シャス＝スプリーンは珍しく発行後も瓶詰前も濾過をしない。

その分ややデリケートに扱う必要があるが、その味わいは本物だ。

セカンドラベルとはいえ、本質は変わらない。

穏やかな樽香にカシスやブラックベリーのニュアンス。

若いが嫌味のないタンニン。

やや抜栓が早かったが、あと数年すればもっとよくなるだろう。

気軽に古き良きボルドーを楽しめる一本だ。

もうちょっと贅沢したかったが、今の私にはぴったりだろう。

今年も一年、このワインが”憂いを払って”くれることを祈りたい。

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