イタリアのアマローネと言ういワインをご存知だろうか?
正式名称はアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェラ。
イタリアの北、ヴェネト州はヴァルポリチェラ地域で造られる高級ワインだ。
使用される葡萄品種はモリナーラ・ヴェロネーゼ、ロンディネッラ、モリナーラ。
葡萄は丹念により分けられ、未熟な顆粒は取り除かれる。
非常に贅沢な造りのワイン。
そしてアマローネの最大の特徴は「陰干し」だ。
収穫し、より分けられた葡萄は2ヶ月から6ヶ月もの間、風通しのよい部屋で陰干しされる。
そうすることによって果汁が凝縮し、濃密で果実味の強いワインに仕上がるのだ。
ちなみにこのアマローネはD.O.C.Gではない。
これほど品質が高く、人気があるワインでもワイン法上では最高ランクではないのだ。
(厳密にはDOCGに昇格したのだが、熟成期間の関係で2010年以降のリリース分から)
実はこれには大きな理由がある。
各ワイナリーに寄って陰干し期間がまちまちなのと、その製法にワイナリーごとのテクニックがあるためだ。
こういったあたりは法律で整備することが難しい。
法整備の結果、品質が下がったのでは本末転倒だ。
さて前置きが長くなったが、写真のワインはアマローネではない。
このワインはカバローネ・デル・ヴェネトの2008年。
インポーターはロイヤルリカー。
価格は2,940円。
産地はアマローネと同じくヴェネト州なのだが、葡萄品種がフランス系のカベルネ・ソーヴィニヨン100%なのだ。
陰干し期間も100日程度と短く、樽熟も短い。
しかしながら、陰干しならではの甘く濃密な果実味がある。
色調は濃い紫。
熟したベリー系の香りがあり、タンニンは柔らかく余韻も長い。
味わいは濃いが、エグ味がなく女性にも人気が高い。
アマローネはなかなか手が出せないが、カバローネなら気軽に陰干し葡萄の味わいが楽しめる。
我々の懐にも優しいすばらしいワインだ。
しかしこのワインには重大な欠点がある。
”アマローネ” × ”カベルネ・ソーヴィニヨン” = 『カバローネ』
いくらなんでも安直すぎるのではなかろうか。
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