飲んではハイに 醒めては灰に-ルー・デュモン
あと数時間で第19回ワールドカップ南アフリカ大会が開幕する。

アフリカ大陸で開催される初のワールドカップだ。

正直、あまりスポーツに興味がないが、ここまで大きいイベントだと無視できない。

せっかくなので今日は南アフリカワインでも紹介しようかと思う。

が、やっぱりやめた。

どこの輸入メーカーもそういったプロモーションを打っているので面白みがない。

このブログではちょっと意外なところから攻めてみる。

サッカー日本代表と言えば”サムライ・ブルー”と言われる青のユニフォームが印象的だ。

その歴史は古く、1936年のベルリンオリンピックから採用されている。

各国が国旗をベースにしていることを考えてもちょっと特殊な例かもしれない。

実はそれより以前から変わらないものがある。

それが日本サッカー協会のシンボルマークである八咫烏(やたのからす)だ。

1931年から現在までシンボルマークとして使われている。


飲んではハイに 醒めては灰に-エンブレム
 

八咫烏は日本神話に登場する。

神武天皇を熊野国(現在の和歌山と三重の南部)から大和国(現在の三重県)に道案内したとされる三本足の烏だ。

単に大きい烏というわけでなく、太陽の化身として信仰の対象になっている。

黒いものや神話が好きな私としては、サッカー自体よりも興味がある。

なぜ八咫烏が3本足なのかは諸説ある。

熊野本宮大社の御祭神である家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)の御神徳である「智」「人」「勇」の三徳を表しているという説。

当時の熊野地方で大きな力を誇っていた三大勢力、熊野三党を表しているという説。

そして”天の時、地の利、人の和”を暗示する「天」「地」「人」を表しているという説。

せっかく酒を生業としているのでここは最後の説を提唱したい。

ワインの世界で「天」「地」「人」といえばひとつしかない。

フランスはブルゴーニュ地方、メゾン・ルー・デュモンが手掛けるワインだ。

日本人醸造家である仲田晃司さんを中心とし、2000年にニュイ・サン・ジョルジュに設立したネゴシアン。

2003年にジュヴェレ・シャンベルタンに本拠地を移し、仲田さんが代表となった。

仲田さんは95年に渡仏し、クロ・ド・タールを単独所有するモメサン社などを経て、同メゾンの設立に尽力した。

まさにワイン界の日本代表の一人だ。

デュモンとは「山」の意味。

仲田さんの出身地である岡山県の松山城をイメージしたもので、”心の中にはいつも故郷がある”という意味で名付けられた。

ルーは仲田夫妻が洗礼上の代親を務める女の子、ルーちゃんから取っている。

同社のワインはとても繊細で実直な造りをしている。

まさに日本人気質といったところだろうか。

生産量も徹底的に絞り、すべての樽に目の届く範囲でしか造らない。

中には年間2樽程度しか仕込まないワインもある。

天の恵み、土地独特の味わい、人の力。

どれか一つが欠けてもいいワインは造れない。だからこそ、努力を惜しまない。

幅広いラインナップがあるメゾンだが、家にあるストックは決して安くない。

が、たまには高級ワインを抜栓してもいいだろう。

こういう機会でもないと開けられない。

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コメント一覧
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    勉強になりますた


    2010年6月11日 23:06 | あーすけ

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    >あーすけさん
    あくまでも一説です。
    八咫烏は3本足という明確な記述がないとの説もあります。


    2010年6月11日 23:14 | 黒須 慧

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    はじめまして。
    記事を読ませていただいて気になった事が一点。
    沖田晃司さんと表記されていますが、正しくは仲田晃司さんです。
    訂正後、このコメントは消してもらって構いません。失礼しました。


    2010年6月12日 11:27 | yukio

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    >yukioさん
    ご指摘ありがとうございます。ずっと勘違いしていました。
    ブログ記事の方は修正しました。
    また気になることがありましたら、ご指摘お願いします。


    2010年6月12日 22:03 | 黒須 慧

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