本日はちょっとワインの紹介を休んで雑談でも。
売場で試飲をかけていると、年に何回か聞かれる質問がある。
今日の話もそのひとつ。
『果たしてワインはいつから飲まれているのか』
ちょっとややこしい話ではあるのだが、簡単に案内したいと思う。
が、いつもよりさらに長くなると思うので、興味のない方は読み飛ばしてもらいたい。
歴史的にもっとも古くワインが文献に登場するのは古代メソポタミアの文学作品だ。
その名を「ギルガメッシュ叙事詩」という。
(ソムリエ試験にもでます)
実在したといわれている英雄ギルガメッシュ王をめぐる物語。
紀元前4,000~5,000年ころのことを書いているといわれている。
このギルガメッシュ王が洪水に備えて舟を造らせた際、船大工たちに赤と白のワインを振る舞った、という記述がある。
これが歴史上、酒に関するもっとも古い記述であり、「ワインが最古の酒」といわれている理由の一つだ。
(ミードが最古であるなど諸説ある。ちなみにビールも紀元前4,000年頃だといわれている)
なので質問の答えは「紀元前4,000~5,000年くらい」ということになる。
が、ここで終わるのは私らしくないので、もう少し続ける。
じつはこのギルガメッシュ叙事詩に登場する「ウトナピシュティムの洪水」の神話が、後の旧約聖書の『ノアの方舟』のくだりになっているともいわれている。
”ノアの方舟”に話はなんとなくご存知の方も多いと思う。
旧約聖書の創世記に登場する物語。
神は地上に増えた人類が悪行を行っているのを見て、これを滅ぼすことにした。
そのことを”正しき人”ノアに告げ、方舟の建設を命じる。
ノアは洪水のことを人々に伝えるが、誰も信じることはなかった。
長い年月のうち、方舟が完成するとどこからともなく動物たちのつがいが集まり、ノアが笛を吹くと動物たちは方舟に乗り込んだ。
洪水は40日40夜つづき、地上のほとんどの生物を滅ぼした。
その後150日の間水の勢いは衰えず、やがて方舟はアララト山に止まった。
さらに40日の後、ノアは鴉を放つがまもなく戻ってきた。
鳩を放つがやはり間もなく戻ってきた。
さらに7日の後、鳩を放つとオリーヴの小枝を咥えて戻ってきた。
さらに7日の後、鳩を放つと鳩は戻らなかった。
こうしてノアは水が引いたのを知り、動物たちとともに地上に降り立った。
そして祭壇を造った。
神はノアとその息子たちを祝福し、もう大洪水を起さないことを約束。
その証として空に虹を架けた。
さてなんとなく思い出しただろうか。
ここまでが一般的に知られている『ノアの方舟』の物語だ。
が、これにはまだ続きがある。
地上に降り立った後、ノアはその地で葡萄の栽培を始める。
そしてワインを造った。
あるときノアはワインを飲んで泥酔し裸で寝てしまい、それを見た息子の一人に呪いをかける。
こうして”正しき人”ノアはワインがもとで身を滅ぼしていく…
さていかがだろうか。
ワインの飲みすぎは”正しき人”をも滅ぼす、ということだ。
飲み会が増えてくる時期だ。
身を滅ぼさぬよう、気を付けていただきたい。

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実は親父が肝臓をやられて他界しています
自分もレバーは食べられないし
なんてことを言っていたら 酒の美味しさを堪能できません
美味しく飲めているうちは善で 不味くなったら悪なんだと思います
いつまでも善で 飲み続けたいと思います。
(―ω―)
2010年12月13日 01:19 | Tom Scotta
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>Tom Scottaさん
何ごともほどほどに(笑)
ちょっと物足りないくらいが丁度いいのかもしれませんね。
しかし酒の魔力に対抗するのは並みの精神力では無理ですね。
2010年12月13日 10:26 | 黒須 慧