最近はボルドーワインを紹介していなかったので、たまにはボルドーワインを紹介しよう。
夜は気温も落ち着いてきた。
多少タンニンがあってもエレガント系のボルドーワインなら美味しく楽しめるだろう。
正直なところ、ストック場から出てきただけなのだが。
気を取り直して今宵のワインを紹介しよう。
ボルドーは格付け5級、ポイヤック村で産する赤ワイン。
シャトー・ランシュ・ムーサの1995年 。
このワインをご存知の方もいるかもしれない。
だがその場合はきっといい噂ではないはずだ。
シャトー・ランシュ・ムーサはよくシャトー・ランシュ・バージュと比較される。
シャトー・ランシュ・バージュは格付け5級の中でも”2級の品質に匹敵する”といわれ、誰もが認めるボルドーワインの逸品だ。
実はこの二つのシャトー、もとは一つのシャトーだった。
分割され、新しく誕生したのがシャトー・ランシュ・バージュなのだ。
日本的にいえば本家と分家のような関係性になるか。
現在では人気実力ともに圧倒的に分家に負けている状態だ。
ワイン誌や評論家の評価も低く、もはやシャトー・ランシュ・バージュの陰に隠れている。
が、しかし—。
ワイン誌や評論家の評価が”絶対”ということはないのだ。
ヴィンテージによっては価格以上のポテンシャルを秘めている。
そのうちの一本が1995年。
シャトー・ランシュ・ムーサの復活の足がかりになったヴィンテージだ。
その後、1996年のヴィンテージで復活を決定付けた。
1995年は年数が経っているため、エッジはややオレンジを帯びている。
タンニンは柔らかく、余韻もほどほど。
やや樽由来のバニラ香がある。
悪く言えば特徴が薄いが、なにも考えず楽しむことができる。
こういうワインは意外と少ない。
このワイン、数年前に今は亡き池袋三越の催事で2,500円くらいで購入した。
まだ品質的に安定していないものの、良年に絞って探せばかなりお買い得なワインだと思う。
みなさんも雑誌や評論家の評価を”絶対”と受け入れるとお得なワインを見落とすことになってしまう。
注意してもらいたい。
最終的に信じていいのは”自分の舌”だけだ。
まぁ実際のところ、大抵は評価通りなのだが。
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