ワインの銘柄でよく登場する”シャトー”と”ドメーヌ”。
この違いをしっかりと把握しているお客様はそんなに多くはない。このコラムでは簡単に”シャトー”と”ドメーヌ”の違いをご案内しよう。
そもそも”シャトー”も”ドメーヌ”もワイン生産者のことで、基本的には自家栽培の葡萄でワインを醸造している。
”シャトー”は主にボルドー地方で使用され、”ドメーヌ”はブルゴーニュ地方を中心にその他の地域で使用されているのだが、その意味合いには違いがある。
本来”シャトー”とは「お城」の意味。実際にボルドー地方の著名な生産者はかつてのお城を醸造所として使用しており、広大な敷地に葡萄畑、醸造所設備、貯蔵庫などを備えいていることろが多い。複数のオーナーが共同所有するシャトーもあるが、そのワインはひとつの銘柄として販売される。
そして”ドメーヌ”とは「領地」「所有地」の意味。こちらは多くの場合、ボルドー地方のシャトーに比べると規模も小さく、家族で経営しているところも少なくない。そのため昔はネゴシアン(ワイン商)に造ったワインを売ってしまい、瓶詰や流通には関与しないドメーヌも多かった。
そして両者の一番の違いはボルドー地方では”シャトー”自体が格付けの対象になり、ブルゴーニュ地方ではその”葡萄畑”が格付けの対象になるということ。そのためブルゴーニュ地方では一つの葡萄畑を複数のドメーヌが分割で所有していることがほとんど。
わかりやすい例では、ブルゴーニュのクロ・ヴージョという畑は50.6ヘクタールの畑を85人の所有者が134に細分化した畑を分割所有しており、それぞれが『クロ・ヴージョ』というワインを造りだしている。そのため、”どのドメーヌが造った『クロ・ヴージョ』なのか”ということが重要になってくるわけだ。(注:畑の相続や売却によって所有者の数は変わる)
なんとなく”シャトー”と”ドメーヌ”の違いがお分かりいただけただろうか。
販売をしていると「このワインはフランスのシャトー物だからいいワインだ」とおっしゃるお客様も意外と多くいらっしゃのだが、これは大きな勘違い。産地によってその呼び名や意味合いは大きく異なるので注意が必要だ。
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