みなさん、秘密の話はお好きだろうか。
今日はそんな秘密の話をお届けしよう。
しばしばシャトーの売却問題に晒されるワインがある。
今回紹介するワインもそんな一本だ。
サンテミリオンにシャトー・スータールというワインがある。
グラン・クリュ・クラッセに格付けされ、同地区で最も古いシャトーのひとつ。
1786年から同族経営されてきた。
そのスタイルはクラシックで重厚。
古き良きサンテミリオンを受け継ぐ、伝統のワインだ。
暗くて深いルビー色。
20年以上の熟成に耐え、若いうちは頑なに開かない。
長熟型のワインではあるものの、本領を発揮したスータールのポテンシャルは高い。
パーカー氏に「サンテミリオンでとっておきの秘密にしたもののひとつである」と言わせるだけの実力を兼ね備えている。
そのシャトー・スータールにはセカンドワインがある。
それが
レ・ジャルダン・ド・スータールだ。
インポーターはアストル。
2004年の価格は3,625円。
レ・ジャルダン・ド・スータールは通常、樹齢の若い葡萄を使い造られる。
がしかし、例外的な年が一年だけ存在している。
それが写真の2004年。
2006年、シャトー・スータールはフランスの大手保険会社に売却されることとなる。
しかしそれをめぐって御家騒動が勃発。
一族が売却推進派と保守派に別れて喧々諤々となってしまった。
そしてその時、樽の中で熟成していたのが2004年のスータール。
しかしこの騒動に巻き込まれグラン・クリュとして登記できないという不測の事態に陥ってしまった。
その後、売却は成立したものの、登記されなかった2004年のスータールはリリースすることができず、すべてのキュヴェがセカンドとしてリリースされることとなってしまったのだ。
つまり2004年のセカンドはは非常にレアで贅沢な造りとなっている。
我々消費者としては低価格でクラシックなサンテミリオンが楽しめるまたとないチャンスなのだ。
私も遠慮しつつ一本購入させてもらった。
みなさんも一本いかがだろうか。
こうして秘密は公然のものとなる。
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